2024年9月場所個別評価 阿武剋
今場所は新入幕の場所であり、西前頭14枚目だったが7勝8敗で負け越した。連敗スタートも3日目は元大関の高安を寄り切り、幕内初白星を挙げた。しかしその後は星が挙がらず、前半戦は3勝5敗で折り返した。そして後半戦も黒星が増え、12日目に負け越しが決まった。ただ翌日からは3連勝し、1点の負け越しで場所を終えた。下に2枚半あり、来場所も幕内に残留となる。
さて阿武剋の紹介をしたい。阿武剋はモンゴル・オブス県出身で阿武松部屋所属であり、年齢は24歳である。また身長185センチ、体重164キロであり、右四つ・寄りを得意としている。日体大時代は4年次に全国学生相撲選手権大会で優勝し、幕下15枚目格付出で初土俵を踏んだ。新大関となった大の里は大学時代の同級生である。
内容以前に場所前に左足首を痛めており、本調子ではなかった。また踏ん張れず、あっさり土俵を割る内容も多かった。それでも左前廻しを取ると力を発揮していた。特に良かったのが幕内初白星となった3日目の高安戦である。高安に突き立てられた後左下手を取ったが右上手を取られた。しかしすかさず右上手を切ると右から出し投げを打ち、頭を付けた。その後左前廻しを取ると一気に寄り切った。流れるような攻めであり、素質の高さをうかがわせる内容だった。そして負け越した後に3連勝したあたりは地力の高さを示したとも言える。
11月場所は左足首を治した上で幕内初勝ち越しを狙いたい。今場所は左前廻し狙いが多かったが、まだ自分に合った相撲を模索している段階であり、器用なタイプなので相撲の取り口が変わる可能性がある。稽古をする中で通用するものとしないものを把握し、通用するものを磨きたい。また課題としては立ち合いの圧力の強化が挙げられる。立ち合いの一歩目で前に出られず、相手の攻めを凌いでからの相撲が多くなっている。このあたりが克服できれば楽しみが大きくなる。よって大の里との対戦は少し時間がかかるかもしれない。しかし対戦できる番付に上がってきた時は大の里を苦しめる存在となりそうであり、その日を楽しみにして待ちたい。
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