2024年9月場所個別評価 正代

 今場所は東前頭4枚目だったが10勝5敗の好成績だった。初日からの4連勝は大関昇進前の2020年1月場所以来となった。しかし5日目からは役力士との対戦が続いたこともあって4連敗し、前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は再び白星を並べると14日目は平戸海を引き落としで破り、2場所連続二桁勝利となった。

 内容に関しては当たって前に出る厳しい相撲を取っていた。そして前に出る圧力が強かったので引き技もよく決まっていた。3日目の湘南乃海戦は差し手争いとなったが右は差せないと見ると逆におっつけ、左はハズ押しの形で力強く押し出した。4日目の若元春戦は左を差して前に出たが若元春に左を差され、寄り返された。しかし若元春の左差しを嫌うような形で左から掬い投げを打ち、這わせた。体の動きも良く、相撲センスの良さを見せた。そして14日目の明生戦は明生のぶちかましにもほとんど下がらず、左下手を取られたものの、右は抱え、左はのぞかせる形で押し出した。最後は右足で相手の左足を払う動きも見せており、気力も充実していた。

 一方4連敗のうちの3敗は両大関と場所後に大関に昇進した大の里であり、いずれも完敗という内容だった。11月で33歳となり、ベテランの域に入ってきているが、もう少し押し込めるようになれば優勝の可能性も出てきそうである。

 11月場所の三役復帰は厳しそうだが、いずれにしても初日から役力士との対戦が続くことになる。またご当所場所であり、1人でも多くの役力士を倒して場所を盛り上げたい。本人は元大関の肩書を嫌っているようだが、元大関ということは、それだけの技量を持っているということでもある。対戦相手にとっては無視できない存在となりそうだ。