2024年9月場所個別評価 平戸海

 今場所は小結であり、三役2場所目となったが7勝8敗で負け越した。黒星スタートも2日目からは4連勝し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目に6勝目を挙げたが翌日からは平幕相手に4連敗し、14日目に負け越しが決まった。

 内容に関しては先場所二桁勝利の活躍をしており、得意としている右差し速攻の対策を練られたという印象である。四つ相撲が得意の若元春と熱海富士には左からおっつけられ、押し相撲も取れる霧島、豊昇龍、高安は徹底して突き放していた。よって白星は挙がっていたものの、なかなか自分の相撲が取らせてもらえなかった。その影響が終盤に出てしまった。13日目の錦木戦と14日目の正代戦はどちらも左前廻し狙いだったが取れず、足が揃ったところを引かれての黒星となった。まだ地力がないと言ってしまえばそれまでだが、改めて相撲の難しさを思い知らされた次第である。対策としては今まで以上に鋭い立ち合いをすることと、押し合いになっても押し切れるくらいの地力を付けることが求められる。ただ相撲内容自体は悪くなく、気持ちを切り替えて次の場所に備えたい。

 また11月場所は平幕から出直しとなるものの、長崎県出身でご当所場所となる。平幕陥落での九州場所は少し残念かもしれないが、プラスに考えれば巻き返すチャンスでもある。初日から上位力士との対戦が続く位置となるが、一人でも多くの役力士を倒し、場所を盛り上げたい。勿論一場所での三役復帰が望まれる。

 そして平戸海と言えば体は大きくないものの、ほとんど変化することはなく、真っ向勝負が持ち味である。昭和の雰囲気を漂わせており、地元での人気は絶大なものがある。去年の11月場所は平幕下位の番付でありながら応援タオルを持っている人が多く、出世した今年は去年以上に歓声が上がるのは確実である。おそらく当分は九州出身力士の人気を背負うことになると思うので、人気に応えられるような相撲内容を期待したい。