2021年1月場所個別評価 豊昇龍

 今場所は9勝6敗だった。5連敗スタートとなったが叔父の元横綱朝青龍のツイッターによる叱咤もあり、6日目からは白星を並べ、13日目に勝ち越しを決めた。そして連勝は9まで伸びたが千秋楽は阿武咲に敗れ、2桁勝利には届かなかった。

 内容に関しては序盤は豊昇龍らしいキレのある動きが見られなかった。おそらく自身は感染しなかったものの、12月に所属する立浪部屋で集団感染が発生し、その影響で調整が遅れたことも原因だと思う。しかし本人が言うように叔父のツイートを見て気持ちを入れ替え、後半戦は本来の動きの速い相撲が戻った。

 2日目の逸ノ城戦はすぐに相手得意の右四つに組み止められた。そして寄り倒しで負けたものの抵抗し、結局1分以上の長い相撲になった。逸ノ城が慎重に攻めたこともあるが、体格差の割にはよく粘ったと私は思っている。そして勝ち越しを決めた13日目の志摩ノ海戦は右四つに組み止めると投げ技で何度も揺さぶり、最後は右下手投げからの右内掛けで裏返しにした。やはり投げ技と足技に関しては生まれ持ったセンスがある。

 三月場所前の合同稽古では鶴竜に胸を出してもらい、「体が大きくなっていけば、もっともっと上がっていく」と素質の高さを評価されていた。鶴竜によると首を痛めているらしく、あまり無理はしてほしくないところだ。

 3月場所は自己最高位を更新し、西前頭9枚目となった。相手は強くなるが勝ち越しを期待したい。課題はやはり体重増である。あと10キロは増やしたい。10キロなら体のキレが鈍ることもないと思う。食事稽古も大切になってくる。そして部屋頭の明生との稽古である。明生のほうが年齢も、実績も、相撲の上手さも上回っている。明生を超えることを目標にしたい。そして明生もまだ三役には上がっていないので豊昇龍との稽古で力を付け、三役昇進といきたいところだ。切磋琢磨して上を目指してほしい。