逃げない相撲を取る男! 大栄翔 今後に向けて

 大関昇進に関しては年齢が30歳であり、今年で31歳になるので厳しくなってきている。大関候補のライバルとしては大の里が7月場所で優勝し、場所後の昇進が確実となった。また阿炎と若元春とは力量はほとんど同じに見える。そして若手の平戸海、熱海富士、王鵬のうちの一人が急速に力を付けるようなことがあれば立場が苦しくなりそうだ。できるだけ早い時期に星を揃えることが求められる。その一方で若手力士に勝ち、三役の座を守れれば自ずと大関昇進のチャンスが出てくるはずである。可能性のある限り頑張って欲しい。

 ただ大関に上がれなかったとしても急激に衰えるといったことはなさそうだ。感心するのが場所を通した相撲の安定感である。そして地力があるので前半戦で黒星が先行しても後半戦は巻き返してくる。突き押しが得意の力士は一つ歯車が狂うと連敗が止まらなくなることがよくある。しかし大栄翔には当てはまらない。いかなる状況になろうともコンスタントに星を挙げてくる。よって当分は役力士として存在感を発揮しそうである。

 あとは丈夫さがセールスポイントである。休場したのは2022年7月場所の2日間のみである。しかもこの時はコロナ関連での休場であり、自ら怪我をして休場した訳ではない。よって連続記録は止まっていない。また2024年9月場所5日目に通算連続出場1000回を達成した。現役力士では7人しかいない大台である。ちなみにこの場所の3日目は玉鷲が初土俵から通算1631回出場となり、青葉城を抜いて単独トップに立った。玉鷲の域に達するのは簡単ではないが、連続出場で評価される日が来る可能性は十分考えられる。

 最後に現役を引退するまで「逃げない相撲」に徹して欲しい。最近の相撲は動きが速く、その中で引きやいなしが当然のごとく繰り出されている。だからこそ大栄翔のような小細工のない突き押し相撲は際立つ。こういった相撲は取りたくても取れるものではない。また玉鷲のように相撲を取ることに集中しつつ長く現役生活を続けるのが大栄翔には合っているのかもしれない。

終わり