2024年7月場所個別評価 輝

 今場所は東前頭16枚目であり、5場所ぶりの入幕となったが9勝6敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は白星を伸ばすと13日目は正代を押し出しで破り、幕内では10場所ぶりとなる勝ち越しを決めた。そして千秋楽は今場所好調の美ノ海に勝ち、9勝で場所を終えた。

 いつもは逆転負けが多いイメージだが今場所は逆転勝ちもあり、体が良く動いていた。6日目の若隆景戦は当たってすぐに左を差され、苦しい体勢となった。そして押し込まれたところで左に回り込んでかわし、若隆景がバランスを崩したところを押し出した。先場所も十両の土俵で勝っており、これで対若隆景戦は連勝となった。9日目の狼雅戦は当たってすぐに相手得意の右四つに組み止められた。そして寄られたところを土俵際で左から突き落とし、逆転勝ちした。こういった形の逆転勝ちは滅多になく、それだけ体が動いていた証拠である。そして13日目の正代戦は相手の右差し狙いを左おっつけで許さず、右のど輪で上体を起こして押し出した。らしくないと言ってしまえば失礼だが、それくらい厳しい相撲であり、素晴らしい内容だった。年齢は30歳だが、今場所のような相撲が取れれば幕内でも頑張れるはずである。

 9月場所は西前頭11枚目となったが、引き続き前に出る相撲を期待したい。身長193センチ、体重171キロと体格には恵まれており、このまま終わって欲しくない力士である。同部屋には竜電に加えて力を付けている湘南乃海がおり、切磋琢磨しながら番付を上げていって欲しい。