2024年7月場所個別評価 狼雅

 今場所は西前頭15枚目だったが9勝6敗で勝ち越した。二場所連続で7勝8敗であり、二場所連続で番付が据え置かれた。前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は9日目から3連敗し、黒星が先行した。しかし翌日からは連勝し、14日目は幕内4場所目にして初めての勝ち越しを決めた。

 内容に関しては右四つ左上手から前に出る相撲には力強さがあった。最近は動いて活路を見出す力士が多い中で右四つというしっかりとした型を持っている。特に良かったのが5日目の宝富士戦である。宝富士は左四つのスペシャリストであり、差し手争いが注目された。相撲は予想通り差し手争いとなった後狼雅が右上手出し投げで宝富士のバランスを崩した。しかし宝富士がこらえて左を差すと右上手を取り、寄り詰めた。それでも狼雅は左に回り込みながら右を巻き替え、両差しとなった。そして宝富士の左巻き替えに乗じて寄り倒し、差し手争いの激しい攻防を制した。実績のあるベテラン相手にこういった相撲が取れれば今後の自信になるはずである。また番付上位の玉鷲や金峰山にも勝っており、番付を上げてもそれなりに通用しそうである。

 9月場所は自己最高位の西前頭10枚目となったが勝ち越しを期待したい。場所後の夏巡業は左ふくらはぎを痛めていることが理由で休場したことが少し気になる。ただ今場所はテーピングは施していたものの、痛がる素振りは見せておらず、軽傷であることを信じたい。今後に向けては増量を期待したい。現在152キロだが、160キロくらいまで増えれば相撲に更に力強さが加わりそうである。派手さはないものの場所ごとに力を付けてきており、今後期待が持てる力士である。