朝乃山について その5

・若手力士を使って技術の向上を図る

 これは若手力士のためではなく、自分自身のための稽古である。朝乃山は右四つの相撲を得意としているが、同じく右四つ得意の照ノ富士には連敗しており、技量に差があると言わざるを得ない。例えば左上手を取るにしても前廻しではなく、横から廻しを取ってしまう。これでは脇が開き、相手に右を深く差される可能性も十分ある。できれば照ノ富士のように前廻しを取り、相手の差し手を許さずに一気に前に出る相撲が理想である。あとは取られた廻しの切り方など、技術的に向上する余地はたくさんある。最近は左上手にこだわるのではなく、右を差して前に出る相撲も増えてきた。技術的に向上してはいるが、まだまだ向上できると思うので、その部分を若手力士を使って技量を高めていきたい。確かに関取ではないので実戦的な稽古にはならないが、相手が弱いからこそできる稽古もあると思う。また不利な体勢からの稽古も悪くない。大関なので対戦相手も手段を選ばずに負かしに来る。不利な体勢から徐々に有利な体勢に持っていき、白星に結びつける相撲も求められる。話を戻すと照ノ富士との技量の差は一朝一夕に詰まるものではない。照ノ富士も大怪我をする前は抱え込んだり、力任せの相撲も多かった。しかし怪我をしたことで工夫して稽古をした成果が今発揮されていると思う。この状況だからこそ技術の向上にじっくり取り組んでほしい。そして高いレベルでの右四つの相撲の完成を期待したい。

続く