2024年7月場所を振り返って 優勝争い 11日目まで 照ノ富士ー大の里戦

 10日目までは照ノ富士が全勝を守った一方2敗力士が敗れ、2敗は琴櫻1人となった。残り5日あるものの、横綱の独走ムードが更に高まってきた。

 そして動きがあったのが11日目である。照ノ富士は大の里との取組だった。先場所は大の里が勝っているものの今場所の大の里は序盤でつまづいており、相撲内容を見ても横綱が有利と見ていた。相撲は当たってすぐに照ノ富士が左上手を取り、有利な体勢を作ったかに見えた。しかし照ノ富士が前に出てきたところを大の里が左へ回り込んで突き落とし、横綱を這わせた。照ノ富士のまさかの黒星ということで取組後は大歓声が上がり、多くの座布団が舞った。

 照ノ富士は左上手を取って引きつけると同時に大の里の右差しを封じたということで攻めは悪くなかった。結論から言うと大の里の作戦勝ちである。大の里は右差しから前に出ることは全く考えておらず、左を「おとり」に使った。そして左は何度か巻き替えるような動きを見せた。つまり流れではなく、最初から突き落としありきの相撲だった。横綱は右を差して寄っていくことしか頭になく、突き落としは全く想定していなかった。よって大の里に右の差し手を抜かれると全く反応できず、腹から土俵に落ちた。

 この相撲に関しては大の里が一枚上手だった。やはり体格と身体能力に恵まれただけの力士ではない。意識の部分でも大物である。また横綱の調子と自身の調子を冷静に分析した上で考えた相撲を取った。

 一方照ノ富士は初黒星となったが、大の里にしてやられたという内容であり、悔しかったに違いない。しかし相撲内容自体は悪くなく、気持ちを切り替えれば全く問題ない。またその前の取組で琴櫻が霧島に敗れて3敗となっており、負けても差が詰まらなかった。

 11日目終了時点で1敗は照ノ富士、2敗はおらず、3敗で琴櫻、豊昇龍、隆の勝、美ノ海、若隆景の5人が追いかける展開となった。

続く