納谷四兄弟について その8

 四男の幸成(こうせい)は兄3人と同じ埼玉栄高校に進学したが、特にこれといった目立った実績は残せなかった。そして相撲部の山田監督からは大学進学を勧められるも角界入りを決断し、2019年11月場所に初土俵を踏んだ。四股名は「夢道鵬(むどうほう)」である。その後は三男の王鵬同様、序ノ口、序二段、三段目を1場所で通過し、2020年9月場所は東幕下55枚目に番付を上げ、5勝2敗で勝ち越した。翌11月場所は東32枚目まで番付を上げたが3勝4敗という成績で入門後初の負け越しとなった。1月場所は西43枚目という番付である。

 身長183センチ、体重135キロという体型であり、王鵬と比べると少しスリムな体をしている。相撲は突き押しを得意としているが四つでも相撲が取れる。また王鵬とは違って奔放に動き回るタイプの力士である。そして動きにも負けん気の強さが出ており、4人の中では貴闘力に一番近いタイプに見える。まだ体ができていないのでしばらくは幕下中位~下位で揉まれることになりそうだ。今のところは上体の強さだけで相撲を取っている。もっと下半身を鍛え、下半身で相撲を取れるようになれば番付を上げられそうだ。また現時点では王鵬にはほとんど勝てないみたいである。それでも素質は間違いなく持っており、怪我さえしなければ十両には上がれると私は見ている。

 母の美絵子さんは、幼いころからとび抜けてやんちゃで、もっとも勝ち気と語っている。相撲を観ていても3人の中で一番角界の水に合っていそうな気がする。また細身の体型も魅力である。稽古と食事で体を大きくしながら番付を上げていってほしい。

 大鵬の孫というよりも貴闘力の息子が3人角界入りしたというのは相撲ファンとしては非常に嬉しい。昔とは違って今は二世力士がしごかれるようなことはまずないので才能さえあれば出世できる環境である。その環境を存分に活かしてほしい。そして3人共関取になれる日を楽しみに待ちたい。勿論王鵬は新十両で満足することなく幕内を目指してほしい。大鵬、貴闘力の血を引いているというだけでドラマ性がある。嫌でも注目度は上がるが、それに恥じないくらいの活躍を期待したい。

終わり