賢い男! 阿武剋 今後に向けて

 まずは阿武松部屋に入門できたことがラッキーだったと私は思っている。外国人枠は部屋に一人であり、仮に外国出身力士が日本国籍を取得したとしても外国人枠は空かないという決まりになっている。よって外国出身力士が引退しない限り枠が生まれない。また全ての部屋が外国出身力士を受け入れる訳ではなく、狭き門となっているのが現状である。学生相撲の日本出身力士のように自ら部屋を選べないのは外国出身力士にとってはネックである。また入門できたとしても、部屋に強い力士がおらず、稽古相手に恵まれないこともあれば、師匠が体調を崩すなどして満足に指導を受けられないといったことも時に聞かれる。

 その意味では阿武松部屋は部屋頭に阿武咲がいるだけでなく、師匠に加えて不知火親方がいる。そしてコンスタントに関取を輩出しており、歴史もある。部屋の雰囲気も良さそうであり、阿武剋が出世できる下地は整っている。あとは本人の努力次第である。

 大学の同級生の大の里に追いつきたいところだが、大の里は出足が鋭く、肩を並べるのは簡単なことではない。ここは焦らずに立ち合いの当たりを強化していく中で大の里との差を少しずつ詰めていきたい。それでも稽古熱心であり、いずれは追いつくと見ている。急がば回れであり、先を焦るよりも目標に向かって努力を積み重ねていきたい。

 最後に個人的には鶴竜のように、揉まれながら少しずつ番付を上げ、いずれは頂点に辿り着きそうな気がする。逆を言えば大の里のような爆発力には欠けるので、一気に番付を上げることは考えにくい。それでも頭脳を含めて大物であることに変わりはなく、本当の実力を発揮するのは幕内に上がってからとなりそうだ。

終わり