賢い男! 阿武剋 部屋の紹介

 阿武松部屋は元関脇・益荒雄が1994年10月に大鵬部屋から分家独立して創設した。

 2001年1月場所で小緑が新十両へ昇進し、部屋史上初となる関取が誕生した。2005年5月場所には片山が新入幕を果たした。学生相撲出身者を積極的にスカウトして、片山以降は専修大学出身の力士が多くなっている。所属力士の四股名には「阿武」「松」「荒」「緑」が付けられることが多い。

 その後2019年9月、師匠の元益荒雄が高血圧など体調不良を理由に日本相撲協会を退職する意向を示した。そして9月場所終了後、同月26日の相撲協会理事会において、阿武松と音羽山(元前頭・大道)との名跡交換を行い、音羽山となった先代師匠は同日付で退職した。代わって元大道の阿武松部屋継承が承認された。

 部屋には師匠の他に元小結・若荒雄の不知火親方がいる。そして力士に関しては関取は阿武剋の他に幕内の阿武咲がおり、2人である。また2024年7月場所現在、力士数は15人であり、中規模の部屋である。関取予備軍の幕下には5人おり、そのうち勇磨は元十両である。二本柳は先場所は6勝を挙げ、今場所は自己最高位となる西幕下12枚目となった。土佐緑も幕下上位で相撲を取った実績があり、2人が新十両に向けて期待の力士と言える。

 また現役力士を除けば8人が関取になっているが、派手さはないものの、堅実に活躍する力士が多いというイメージである。大道と若荒雄は引退時はいずれも「実力以上のものが出せた」と語っている。具体的には分からないが、私は先代師匠の指導が良かったからだと思っている。確かに部屋頭の阿武咲は伸び悩んでいるが幕内には定着しており、地力がある証拠である。また勇磨は新十両の会見の時に、先代師匠が退職した2019年にもらっていたえんじ色の着物で臨んでいた。新品のまま着ておらず、この日のために大事に保管していたようである。厳しくも愛情があった先代師匠の教えが今に受け継がれている。

続く