嫌らしい相撲を取る男! 翔猿 最後に

 やはり十両時代に突き押し相撲を見直すと同時に体重増に取り組んだことが今に生かされている。また増量しただけでなく、立ち合いから頭でぶちかますなどして圧力が増した。おそらく気持ちを入れ替えて稽古に取り組んだのだと思う。相撲を見直す前とは全くの別人と言ってもいいくらいである。金星を挙げただけではなく、横綱からも立ち合いの当たりを認められており、相撲の上手さだけが目立つ力士ではなくなった。相撲を通して人間はこんなに変われるものだというのを翔猿が教えてくれているような気がする。

 そして経緯は違うものの、相撲を見直して増量に着手したというのは宇良も同じである。ただ増量はしても反り技は捨てておらず、時に反り技を繰り出しているのが面白い。自分は反り技が得意であるというポリシーを感じる。宇良も今年1月場所で新小結となっており、最近は毎場所のように翔猿と対戦している。似た者同士であり、頭四つになっての激しい駆け引きとなる内容が続いている。幕内での対戦成績は翔猿が8勝3敗でリードしているが、今後も対戦が続いて欲しいと思っている。

 今場所は3日目終了時点で2勝1敗だが、役力士との対戦はまだない。今は混戦状態であり、翔猿のような力士が活躍しやすい状況である。この状況を上手く活かし、三役復帰だけでなく三役での勝ち越しと三役定着を私としては期待したい。

終わり