琴恵光引退に関して 師匠の紹介 その2

 相撲に関しては右四つの相撲というよりも、左上手を取っての豪快な上手投げが印象に残っている。あとは攻めが遅く、「ミスター一分」のあだ名を持っていた。左上手を持っても攻めず、そのまま止まってしまう相撲が多かった。個人的には長い相撲は好きではなく、琴ノ若の取り口は好みではなかった。あくまで私の想像だが、佐渡ヶ嶽部屋の力士は速い相撲を取る力士が多く、その部分で琴ノ若は先代師匠から叱られていたのではないだろうか。また厳しい相撲を取るタイプの力士ではなかった。

 土俵の外では1996年4月に師匠の長女と婿入りの形で結婚し、この時点で佐渡ヶ嶽部屋を継承することが決まった。そして2004年に師匠が体調を崩して入院すると部屋付き親方が5人いる中で師匠代理を務めた。その後師匠が65歳の停年を迎えた2005年11月場所13日目を最後に現役を引退し、佐渡ヶ嶽を襲名した。しかしまだ幕内を務められる実力は十分持っており、完全燃焼できないまま引退したのは気の毒である。ただ師匠交代なので仕方がない部分もある。

 記録としては幕内通算90場所を務めており、金星8個というのがその実力を示している。1990年代前半は若・貴ブームで盛り上がったが、琴ノ若も盛り上げていたうちの一人だった。

 また師匠としては幕内力士を途絶えさせておらず、しかも力士を多数抱えている。よって偉大だった先代師匠の後を継いでよく頑張っていると思う。

続く