2024年5月場所個別評価 欧勝馬

 今場所は西前頭14枚目であり、新入幕の場所となったが10勝5敗の好成績で敢闘賞を受賞した。3連勝スタートを切り、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、11日目に勝ち越しを決めた。翌日は元大関の正代に勝ち、12日目終了時点で優勝争いでトップに並んだ。終盤は若元春、豊昇龍と上位力士にぶつけられたが力が及ばず、優勝の望みは絶たれた。しかし千秋楽は勝てば三賞受賞という条件付きだったが金峰山を寄り切り、受賞が決まった。

 さて欧勝馬の紹介をしたい。欧勝馬はモンゴル・トゥブ県出身で鳴戸部屋所属であり、年齢は27歳である。また身長190センチ、体重158キロであり、押しといなしを得意としている。元横綱朝青龍の紹介で高校2年の4月から日本の日体大柏高校に進学した。また来日の際の飛行機には豊昇龍も乗っていた。高校時代はレスリングで実績を残すと卒業後は日体大に進学し、相撲部に入部したということで相撲は大学時代から始めた。それでも1年次には全国学生選手権で3位に入った。そして4年次には学生横綱のタイトルと幕下15枚目格付出の資格を獲得した。大学卒業後は大相撲に入門し、元大関琴欧洲が率いる鳴戸部屋で2020年12月21日から研修を開始した。その後2021年9月場所前に正式に入門し、幕下15枚目格付出での入門が承認された。初土俵は興行ビザの取得の都合上で同年11月場所になった。幕下は4場所で通過し、十両に昇進した。そして今場所新入幕となり、鳴戸部屋としても初の幕内力士となった。

 内容に関しては左前廻しを取る相撲と引き技で白星を挙げていた。好内容だったのは12日目の正代戦である。突きをあてがわれ、左からいなされて泳いだものの前傾姿勢を保って正代の攻めを凌ぎ、左へ回り込みながらの叩き込みで這わせた。叩きはタイミングが上手いだけでなく、横への動きも速いので今後も武器となりそうだ。

 課題としては押しの圧力の強化が挙げられる。仕方がないが若元春戦は圧力負けしており、若元春戦の内容が現時点での実力と言える。前に出る圧力が増せば横への動きの速さと引き技がより活きてきそうである。

 7月場所は前頭8枚目前後となりそうだが、再度の勝ち越しを期待したい。また三賞獲得以上に終盤に役力士と対戦できたのはいい経験になったはずである。一方日体大の後輩の大の里が優勝しており、その悔しさもあったと思われる。本人が言うように焦っても仕方がないが、上位力士に勝てるように自分の相撲を磨いていきたいところだ。