2024年5月場所個別評価 若元春

 今場所は4勝8敗3休という成績に終わった。6日目までは3勝3敗だったが6日目の大栄翔戦で突き倒しで敗れた際に右足親指を痛め、7日目から休場した。しかし11日目から再出場し、千秋楽まで相撲を取った。

 内容に関しては休場前まではまずまずといったところだった。やはり右足親指を痛めたのが痛恨だった。再出場したものの右足に力が入っておらず、怪我さえなければ勝てたという内容が多かった。ただ休場者が相次ぐ中で再出場を決めたことは審判部は助けられたと思う。役力士がいるのといないのでは大違いである。

 それでも13日目は新入幕の欧勝馬を破り、三役力士として意地を見せた。左を差して相手の動きを止めると一旦は左下手を取られたものの廻しを切り、最後は押し出した。欧勝馬の出足を正面から受け止め、力を出させてから攻めており、堂々たる内容だった。また12日目の琴櫻戦も得意の左四つに組み止め、あと一歩のところまで追い詰めた。

 7月場所は3場所ぶりの平幕となるが、痛めた右足親指の治療が第一である。しかし実力者であり、平幕であれば二桁勝利を狙いたい。また弟の若隆景が1年ぶりの幕内復帰が濃厚であり、刺激となりそうである。器用な相撲を取る力士が多い中で若元春はオーソドックスな左四つに組み止める相撲を得意としており、しかも力強い。相撲も分かりやすく、昔でいえば元大関魁皇に似ており、人気が出て当然である。平幕で取る力士ではなく、早期の三役復帰を期待したい。