2024年5月場所個別評価 貴景勝

 今場所は2敗13休という成績に終わった。これで休場は3場所連続であり、来場所は9度目のカド番となった。初日は平戸海に一方的な内容で押し出され、首を痛めたということで2日目から休場した。

 私的には3月場所で右大胸筋を痛めて春巡業を全休したので休場するものだと思っていた。3月場所は勝ち越しており、5月場所はカド番場所ではなかったので休場するという選択肢もあった。しかし場所前の稽古総見に参加し、相撲を取った。そしてその後も部屋の隆の勝と稽古をし、出場を決めた。

 ただ直前の稽古だけではさすがに厳しかったと言える。大胸筋の痛みは回復したみたいだが、それでも慢性的な首の痛みを抱えている。横綱のように休場したところで回復は見込めず、体が動くから出場に踏み切ったということかもしれない。

 5月場所後は巡業がないが、調整が上手い力士なのでその部分は問題ないと思う。ただ3場所連続で休場しており、カド番ということで厳しい状況に立たされたのは確かである。首の痛みを考えれば大関から陥落しても相撲を取るのではなく、引退する可能性もある。大の里など若手力士が伸びてきている中で大関の地位を守れるか注目である。それでも5年間大関の地位を守っており、簡単にその地位を明け渡すとは思えない。本人も5月場所後にこのままでは終われないと語っており、あとは持ち前の強い精神力に期待するしかない。