2024年5月場所を振り返って 三賞と十両の優勝争いに関して

 三賞は初優勝を果たした大の里が殊勲賞と技能賞を受賞した。殊勲賞は初受賞となり、技能賞は二場所連続二度目となった。また新入幕から三場所連続三賞受賞であり、1999年の千代天山以来25年ぶり二人目となった。そして三場所連続三賞受賞かつ二桁勝利は史上初の快挙となった。

 また新入幕の欧勝馬は千秋楽に金峰山を破り、初となる敢闘賞を受賞した。湘南乃海も千秋楽に勝てば敢闘賞受賞だったが明生に敗れ、受賞は成らなかった。

 そして幕内とは対照的に十両はハイレベルな優勝争いとなった。8日目終了時点で8年ぶりの十両での土俵となった遠藤が全勝で折り返した。その遠藤を若隆景、志摩ノ海と新十両の阿武剋の3人が1敗で追いかける展開となった。

 後半に入ると11日目に遠藤が初黒星となり、1敗で遠藤、若隆景、阿武剋の3人が並んだ。翌12日目は3人共に星を伸ばすと13日目は遠藤と阿武剋の直接対決となった。そして阿武剋が浴せ倒しで勝ち、1敗を守った。一方遠藤は2敗となり、優勝争いから一歩後退した。また若隆景は紫雷に勝ち、1敗は若隆景と阿武剋の2人となった。

 14日目は1敗の2人の直接対決となった。元関脇の実力者と期待の若手力士の対戦ということで注目が集まった。しかし相撲は当たってすぐに若隆景の叩きが決まり、あっけなく勝負が付いた。阿武剋の足が揃っており、若隆景が冷静に対処したということだと思う。経験の差が出た一番となった。これで若隆景が1敗で単独トップに立ったが2敗で遠藤と阿武剋が追走しており、千秋楽で若隆景が敗れれば決定戦もあるといった状況となった。

 千秋楽は若隆景が勝てば優勝だったが勝ち越しが懸かる對馬洋との取組となった。相撲は對馬洋の変化を警戒して若隆景が立ち合いから左へ動いた。そして對馬洋がバランスを崩したところを落ち着いて押し出し、十両優勝を決めた。

続く