2024年5月場所を振り返って 優勝争い 14日目 阿炎ー琴櫻戦

 もう一人の3敗の琴櫻は阿炎戦だった。阿炎は4敗であり、勝てば優勝の可能性が出てくるだけでなく、10勝目となり、大関昇進への起点となる。また自身初の三役での二桁勝利となる。琴櫻は勿論だが、阿炎にとっても非常に大事な取組となった。相撲は阿炎のもろ手突きを琴櫻が下からあてがい、土俵際まで押し込んだ。しかし阿炎は琴櫻の右を手繰り、左へ回り込んだ。そして体を入れ替えると阿炎は右のど輪を入れ、そのまま押し出した。阿炎は4敗を守り、優勝争いに残った。押し込まれたものの、土俵際での動きなどは今場所の調子の良さを象徴している。また体重が165キロと増えており、増量したことが土俵際で残れた要因の一つと言って良さそうだ。一方琴櫻は4敗となり、大の里が3敗を守ったので優勝はかなり厳しくなった。前に出る内容は悪くなかったが、それまでに前に出る相撲が少なかった分だけ土俵際で焦りが出た印象である。腰の位置も高かった。ということで今場所の相撲内容がそのまま結果として表れたように見えた。初優勝が遠のいたのはショックかもしれない。しかし千秋楽に大の里が敗れれば優勝のチャンスが残されており、大関として気持ちを切らす訳にはいかない。

 14日目終了時点で大の里が3敗で単独トップに立った。そして4敗で琴櫻、豊昇龍、阿炎、大栄翔の4人が追いかける展開となった。また4人のうち阿炎が千秋楽に大の里と対戦し阿炎が勝てば少なくとも3人、多くて4人による優勝決定戦となる。よって大の里が本割ですんなりと勝ち、優勝できるかが焦点となった。

続く