2024年5月場所を振り返って 優勝争い 12日目 湘南乃海ー阿炎戦

 注目は湘南乃海と阿炎の一番である。湘南乃海が勝てば単独先頭を守れ、優勝に一歩近づく。一方の阿炎も勝てば勝ち越しであり、4敗ということで優勝の可能性も残されている。よって両者ともに負けられない一番となった。

 相撲は立ち合いから湘南乃海が押し込むも阿炎が右へいなして体勢を入れ替えると逆に押し込んだ。そして湘南乃海が土俵際で右へいなすも阿炎が残し、湘南乃海の体が起きたところを阿炎が押し出した。

 大体想定通りの内容だった。勝った阿炎は湘南乃海のいなしを読んでいた。よっていなされても体が反応できた。完勝である。一方負けた湘南乃海は押し込まれた後の引き技で勝とうという考えが甘いと言わざるを得ない。相手が役力士なら尚更である。間違ってもいなしが決まらなかったから負けたとは思わないで欲しい。強い力士に勝つためには、押されても引かずに我慢することが求められる。この相撲に限らず、湘南乃海は我慢せずに引くことが多く、今のままでは幕内の地位は守れても三役には上がれない。対戦相手も引くことは分かっており、あとは本人が自覚した上で努力できるかといったところである。

 阿炎は勝ち越しを決め、関脇では二年ぶりの勝ち越しとなった。残り三日あり、二桁勝利に向けてという意味でも終盤が非常に大事になってくる。湘南乃海は優勝に向けては非常に痛い黒星となった。13日目は琴櫻との対戦であり、大の里との対戦も予想されるので、本人には悪いが可能性はあるものの、優勝はかなり厳しい状況となった。

続く