元横綱・曙の死去に関して 幻に終わった千代の富士戦
さてこの時楽しみにしていたのが千代の富士との対戦だった。千代の富士は強かったものの曙の突き押しも強烈であり、非常に興味深かった。また千代の富士は同じくハワイ勢の小錦との初対戦では一方的な内容で押し出されており、同じことが繰り返される可能性もあると見ていた。しかし対戦が実現することはなかった。
曙は1991年1月場所で西前頭筆頭となり、初めて上位総当たりの番付となった。しかし千代の富士は左腕を痛め、3日目から休場したので対戦がなかった。翌3月場所は曙は小結に昇進したが千代の富士は全休し、またしても対戦がなかった。そして5月場所は曙は関脇に昇進していた。一方の千代の富士は出場し、初日は初めての上位挑戦となった貴花田、後の貴乃花と対戦した。しかし寄り切りで敗れ、3日目の夜に引退を表明した。そして貴花田戦は世代交代として語り継がれることとなるが、私には千代の富士が曙との対戦を避けたようにも見えた。また千代の富士は土俵際に追い込まれての引退ではなく、突然の引退だった。潔い引退だったとは思うが、背景には曙とは対戦したくなかったというのもあったかもしれない。曙より出世が遅かった貴花田とは対戦し、曙との対戦がなかったことは今振り返っても面白いところである。
続く
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