2024年3月場所個別評価 王鵬
今場所は東前頭3枚目であり、自己最高位の場所となったが7勝8敗で負け越した。前半戦は3勝5敗で折り返したが2日目は埼玉栄高校の先輩の大栄翔を突き出しで破った。そして5日目は横綱初挑戦で照ノ富士を寄り切り、金星を挙げた。黒星が先行したものの収穫のある前半戦だった。そして後半戦は10日目から3連敗し、12日目に負け越しが決まった。しかし終盤は3連勝し、負け越しの幅を最小限に止めた。
まずは殊勲の星を挙げた照ノ富士戦である。立ち合いは頭からぶちかまし、左のど輪で横綱の上体をのけぞらせると最後は右を深く差して寄り切った。大栄翔が照ノ富士を得意としているが、のど輪押しは大栄翔を手本としつつ、あとは自分なりに考えた相撲であり、堂々たる内容だった。また一昨年の11月場所は平幕下位でありながら当時関脇だった豊昇龍を破っており、勝負強さは父の元関脇貴闘力譲りである。
また横綱戦を除いても真っすぐ押して勝つ相撲もあり、思った以上に健闘したという印象である。琴ノ若戦のように動かれると苦しくなるが、正面からぶつかる分には力を発揮できそうである。あとは手足が長いので押し相撲だけにこだわるのではなく、時には横綱戦のように差す相撲も取って欲しいと個人的には思っている。
来場所は番付が下がり、上位力士との対戦が少なくなることが予想されるので勝ち越しといきたい。そして今場所は金星を挙げたものの上位力士を倒した実績は少ないので、三役に上がる前に実績を作りたい。番付を上げるだけでなく、力を付けると同時に対戦相手に恐れられる存在になることが求められる。大鵬の孫であり、立派な体格なので金星に満足せず、貪欲な姿勢で上を目指してほしい。
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