2020年11月場所個別評価 正代

2024年5月22日

 新大関の正代は今場所は3勝2敗10休という成績となり、1月場所はカド番で迎えることになった。初日の若隆景戦は突き落としで勝ったものの物言いがつく微妙な一番だった。また内容は若隆景に二本差され、一気に攻め込まれており、まさに相撲に負けて勝負に勝ったという一番だった。そして3日目の高安戦は互角の攻防となり、最後は高安が押し込んだところを土俵際で右からの突き落としで破り、3連勝とした。しかし土俵から転落した際に左足首を痛めた。普段は部屋まで歩いて帰るがこの日は両国駅まで歩いたところで車で帰り、その後病院に行って診察を受けた。4日目は左足首にテーピングを施して土俵に上がるも立ち合いの圧力が全くなく、大栄翔に突き出され、力なく土俵を割った。結局左足首の靭帯が伸びたということで5日目から休場した。休場は仕方がないが、初日といい3日目といい、守りに入る相撲が多くなるとどうしても怪我につながってしまう。また対戦相手も大関戦ということで手段を選ばず、必死に勝ちに来る。正代とすれば大関の厳しさを痛感したと思う。

 場所後は負傷した左足首に関しては、歩く分には問題なく、普通に四股を踏む分には痛みは感じないようだ。そして12月18日から予定されている合同稽古の参加は見送り、24日の番付発表日までには相撲を取る稽古を再開する意向である。また休場は初土俵以来初めてであり、いい経験になっているようである。この経験を土俵に活かしてほしいところだ。

 さて今年の正代だが1月場所の番付が平幕だったので急速に力を付け、大関に昇進したのが分かる。9月場所は悲願の初優勝も果たした。この流れを見ると11月場所の途中休場は一休みという意味では丁度よかったのかもしれない。

 1月場所に関しては本人が言うようにまずは勝ち越してほしい。大関の座を守るのが一番大事である。そして個人的には大関に上がったからといって廻しを取りに行く相撲は取って欲しくない。11月場所はそういった相撲は一番もなかったが、やはり前に出ながら差したり押したりという相撲が正代には合っている。怪我をしてしまったが3日目の高安戦のような相撲を根気強く取って欲しい。あとは土俵際は粘れる力士なので前に出る姿勢が出れば勝ち越しは可能だと思う。また大関に上がったからには今年引退した豪栄道のように大関の座にしがみついてほしい。逆にすぐに大関の座を明け渡しては何のための大関だったのかということにもなりかねない。多くは求めないのでまずは勝ち越すことが最低限のノルマである。