2024年1月場所個別評価 尊富士  

 今場所は東十両10枚目で新十両の場所だったが13勝2敗で新十両優勝を果たした。初日から白星を並べると新十両では大の里などと並び最長記録の初日からの9連勝をマークした。その後は連敗するも12日目からは再び連勝し、14日目は千代栄を押し出してあっさりと十両優勝を決めた。そして千秋楽は時疾風を破って13勝目を挙げ、一場所通過での新入幕の可能性が出てきた。

 内容に関しては立ち合いからの鋭い出足で相手に何もさせなかった。先場所は西幕下筆頭で6勝しており、優勝してもおかしくないと思っていた。しかし私が思っていた以上に強い内容だった。勝った13番のうち叩き込みで勝ったのは2番だけであり、あとは相手を土俵の外に出していた。文句のつけようがなく、ここでは力が違ったということである。また勝った相撲はどれも素晴らしかったのだが、特に凄かったのが勝ち越しを決めた8日目の獅司戦である。立ち合いからぶちかまして獅司を一気に土俵際まで運ぶと右から強烈に絞ってそのまま押し出した。対策を練らないと一気に持って行かれるというのがよく分かった一番だった。

 一方負けた2番に関してはいずれも相手に上手く立ち回られており、これは仕方がない。連敗したことよりもその後白星を並べたことを評価したい。実力だけでなく精神面も強そうである。

 3月場所は東前頭17枚目となり、新入幕となった。今場所の大の里同様、初日から白星を並べそうである。そして白星を並べたら大の里のように役力士と対戦する可能性も十分あると思っている。また能力的には三役は確実であり、問題はその上に行けるかどうかである。唯一の気がかりな点は両膝を痛めており、それが原因で下半身が鍛えられていない部分である。今は横綱に言われて四股とすり足のトレーニングをしているようだが、果たしてどれくらいできるのか?。下半身のトレーニングの量が将来を大きく左右しそうである。まずは大の里に次ぐ存在になれるか注目したい。