2024年1月場所を振り返って 三賞と十両優勝の尊富士に関して

 三賞は殊勲賞は照ノ富士と貴景勝を破った若元春が初受賞となった。技能賞はおっつけの上手さが評価され、琴ノ若が初めて受賞した。過去5回敢闘賞を受賞しているが、敢闘賞以外で初の獲得となった。そして敢闘賞は14日目までで10勝を挙げていた新入幕の大の里が受賞した。なお殊勲賞は琴ノ若が初優勝をすればという条件付きだったが決定戦で敗れたので受賞を逃した。また敢闘賞は千秋楽に勝って二桁勝利の条件が付いた島津海だったが明生に敗れ、受賞とはいかなかった。いずれも順当な選考だったとは思うが、優勝できなかったにしても琴ノ若の13勝は立派であり、もう一つあげても良かったのではないかというのが私の意見である。

 十両は新十両の尊富士が13勝2敗という成績で優勝を果たした。また大の里などと並んで初日からの9連勝をマークした。相撲内容も良く、立ち合いからの出足と体を寄せるスピードが光っており、相手を圧倒していた。大学相撲出身の若手力士は相撲の上手さで白星を増やす力士が多いが、尊富士は前に出る相撲で勝っており、今後に向けて非常に期待が持てる。また日大出身ということで誘いがたくさんあったものと思われる。しかし強くなるにはこの部屋に入門するしかないという強い決意を持って厳しい稽古で有名な伊勢ヶ浜部屋に入門している。精神面もプロ向きである。

 今場所は東10枚目での13勝であり、十両一場所通過での新入幕の可能性が出てきた。星数的には入幕してもおかしくないのだが、十両2枚目以上の力士との対戦はなく、幕内に上がれるかどうかは何とも言えない。ただ今場所新入幕だった大の里のように白星を並べられるくらいの実力は兼ね備えていそうである。また大の里に次ぐ新星誕生であり、今後も要注目の存在となりそうだ。