2024年1月場所を振り返って 優勝争い 14日目 霧島ー琴ノ若戦 その1

 14日目は照ノ富士は豊昇龍との取組となり、霧島は琴ノ若との取組となった。しかし午前中に豊昇龍が休場というまさかのニュースが入ってきた。前日の霧島戦で二枚蹴りで敗れた際に痛めていた右膝が更に悪化したことが原因のようである。朝起きた時に足が着けなかったとのことであり、これは仕方がない。また豊昇龍は千秋楽での再出場を望んだようだが師匠が止めたようである。場所後は大事には至っておらず、本人によると稽古は遅れるものの3月場所の出場は問題なさそうだ。よって照ノ富士の不戦勝となり、優勝争いのトップで千秋楽を迎えることとなった。

 ということで霧島と琴ノ若の一番に注目が集まった。2敗同士での対戦であり、勝った方が横綱と並んで優勝争いのトップに立つ。また優勝争いだけでなく、霧島は綱取り、琴ノ若は大関獲りが懸かっており、両者ともに負けられない一番となった。そして琴ノ若の側に立てば豊昇龍の休場は誤算である。貴景勝も休場しており、前日は横綱に負けているので重要度が高くなった。なぜなら大関獲りに向けて大関以上に勝てなかったとなると印象が悪くなるからである。やはり大関に上がるからには大関は倒したい。しかし両者の幕内での対戦成績は8勝3敗で霧島がリードしており、直近は霧島が4連勝している。相撲も霧島が廻しを取って勝つといった内容が多く、霧島が有利なのは確かである。

 そして相撲は立ち合いで二度琴ノ若が突っ掛け、待ったとなった。私には琴ノ若が焦っているように見えた。先場所は立ち合いからすぐに前廻しを取られており、気持ちはよく分かる。一方霧島は琴ノ若には付き合わず、落ち着いているように見えた。しかし元横綱白鵬の宮城野親方によると、現役時代は突っ掛けられるのが嫌だったようだ。立ち合いに迷いが生じるからである。そう考えると突っ掛けられたことで霧島が迷ったことも考えられる。

 その後3回目の立ち合いで立ったが両者ともに相手を見ながら立った。お互いに平常心ではなかった感じがする。その中で霧島が琴ノ若の上体に突き押しを入れ、琴ノ若がそれを受けるという形となった。一見霧島が攻めているように見えるが、相手を見ながらなので力が伝わっていない。そして霧島の左ののど輪を琴ノ若が右で払うと今度は琴ノ若が左からのど輪を入れた。一方琴ノ若ののど輪は効いており、琴ノ若がのど輪を外すと同時に右へいなすと霧島の体が大きく傾いた。そこを琴ノ若は見逃さず、右廻しを取ると一気に寄り切った。

続く