琴奨菊引退 10年ぶりの日本出身力士の優勝

 当時は白鵬、日馬富士、鶴竜などのモンゴル勢だけでなく、把瑠都や琴欧洲などのヨーロッパ勢もおり、日本出身力士の優勝は程遠かった。その中で親方衆が発破をかけ、優勝を期待したのが琴奨菊と稀勢の里、豪栄道、豊ノ島だった。そして本来なら稀勢の里が優勝しなければならなかったのだが、優勝次点が12回など、精神的な弱さを克服できずにいた。そういった状況で優勝し、重い扉を開けたのは偉業と言ってもいいと思う。その後は豪栄道、稀勢の里、御嶽海と続き、最近は日本出身力士の優勝は珍しくなくなった。その風穴を開けたのは評価したい。

 また優勝した2016年1月場所は三日連続で鶴竜、白鵬、日馬富士のモンゴル人横綱を倒し、場所が大きく盛り上がった。そして成績は14勝1敗だったが、唯一負けた相手が上位力士ではなく、同学年のライバルだった豊ノ島というのも面白い。結局優勝はこの1回だけだったが、ただの優勝ではなかったということを分かっていただければ嬉しい限りである。