2023年11月場所個別評価 島津海
今場所は9勝6敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は白星を増やし、13日目に勝ち越しを決めた。翌14日目は英乃海を寄り切りで破り、来場所の新入幕に向けて大きな9勝目を挙げた。
内容に関しては今場所はモロ差し狙いだけでなく、左前廻し狙いの相撲も多かった。また左前廻しが取れた時は白星に結び付けていた。モロ差し狙いのイメージが強いだけに前廻し狙いの立ち合いは効果があった。それと同時に好内容の相撲が多かった。2日目は三役経験者の碧山戦だったが立ち合いからすぐに二本差すと一気に寄り切った。そして10日目は若手期待のホープの大の里戦だったが立ち合いからの差し手争いに勝ち、左を深く差して一気に寄った。そして土俵際で体が離れるも再び体を寄せて押し出した。相手に何も差せなかったという点で会心の一番だった。
また鹿児島県種子島出身ということでご当所場所でもあり、大声援と大きな拍手を浴びていた。身長は175センチと高くないが色黒であり、負けん気の強さを前面に出して相撲を取るタイプである。相撲の取り口的にも九州のファンからのウケは良さそうである。番付が上がれば長崎県出身の平戸海のように人気力士になる可能性は十分持っている。
1月場所は東前頭17枚目となり、晴れて新入幕となった。そして会見では技能賞が欲しいとコメントしていた。敢闘賞ではなく技能賞というのが島津海らしい。性格もあるが、それだけモロ差しの相撲に自信を持っていることの表れでもある。元関脇豊ノ島の相撲を参考にしているみたいだが、豊ノ島に匹敵するくらいのモロ差しの上手さは持っている。そして現在は幕内力士にモロ差し得意の力士がほとんどおらず、幕内力士が戸惑う可能性は十分ある。勿論スケール面では同じく新入幕の大の里には及ばないかもしれない。しかし島津海は中卒のたたき上げであり、力を付けながら着実に番付を上げてきた。また地味なタイプではなく、技を持っている。私的には幕内の土俵でどれだけ通用するかが非常に楽しみである。星数的には十両では大勝ちすることもなければ大負けすることもなかったということで仮に負け越したとしても二桁黒星まではないと見ている。また同部屋の一山本も今場所は敢闘賞受賞で1月場所は自己最高位を更新しており、二人で競い合いながら部屋を盛り上げたい。
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