2023年11月場所個別評価 剣翔
今場所は西前頭13枚目だったが9勝6敗という成績だった。場所前に大栄翔との稽古で左膝を負傷し、それが原因で序盤は1勝4敗と星が上がらなかった。左膝は分厚いテーピングを施しており、懸命な土俵が続いていたが9日目からは6連勝し、13日目に勝ち越しを決めた。一番でも多く勝って来場所につなげたいと語っていたが9勝を挙げ、幕内の地位を保った。
序盤は痛めた左膝に力が入っておらず、膝から崩れ落ちる相撲もあった。しかしその後は持ち直し、重い腰を活かした四つ相撲で白星を挙げていた。今場所は4人の新入幕力士と全て対戦したが3勝1敗ということで幕内力士としての意地を見せた。一番の見せ場はやはり10日目の北青鵬戦である。立ち合いからすぐに左上手を取り、得意の右四つの形に組み止めた。しかし北青鵬は身長204センチ、体重181キロであり、剣翔以上に体が大きい。また右下手を取られたが、北青鵬は右下手を取ると非常に強い。どうなるかと思ったが北青鵬が前に出たところで左を巻き替え、二本差すと腰を振った後で吊り上げ、最後は寄り切った。吊り上げたのも驚きだったが、左の巻き替えが早かった。巨漢の割には器用であり、大学相撲出身者らしく相撲が上手い。13日目の錦木戦も見応えがあった。錦木に攻め込まれるも攻めを凌ぎ、右四つに組むと左上手を取り、がっぷり四つとなった。しばらく止まった後錦木に寄り詰められたが土俵際でうっちゃり、逆転勝ちした。錦木は先場所は小結だったが組み合う形になれば力を発揮できることを見せた。
来場所は東前頭11枚目となったが冬巡業は左膝の痛みが原因で休場しており、それが少し心配である。また怪我に関しては今場所は若隆景が8か月ぶりに土俵に復帰したが4月に右膝の手術を受けた。一方手術をしない力士もおり、遠藤や剣翔がこれに当てはまる。剣翔は年齢が32歳であり、年齢的にも手術はせず、このまま続行となりそうである。地味ながらもいろいろ考えながら相撲を取っているのがよく分かる力士である。若手力士が伸びてきているが、その壁となる役割を期待したい。
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