2023年11月場所個別評価 北勝富士

 今場所は約三年半ぶりに三役に復帰したが5勝10敗で負け越した。3連敗スタートも4日目からは連勝し、巻き返しが期待された。しかし6日目からは5連敗し、10日目に負け越しが決まった。4度目の小結となったが三役での初勝ち越しはまたもお預けとなった。

 さて今場所は阿炎も三役に復帰したことで大栄翔を加えて埼玉県出身の3人が三役に名を連ねた。同一都道府県出身の三役3人は2003年11月場所の青森県(若の里、高見盛、岩木山)以来20年ぶりとなった。また2021年1月場所で大栄翔が埼玉県出身者で初の幕内優勝を果たすと2022年11月場所は阿炎も幕内優勝を果たしており、勢いがある。そして阿炎を除く2人が埼玉栄高校出身である。同校は他にも貴景勝や琴ノ若など多数の関取を輩出しており、埼玉県出身力士の活躍に大きく貢献している。大栄翔と阿炎は三役経験が長く、北勝富士の頑張りが同一都道府県出身の三役3人につながったと言える。

 内容に関しては立ち合いから先手を取れず、馬力負けした相撲が多かった。三役では家賃が高かったということだと思う。相手の懐に入っての押し相撲が持ち味だが、懐に入る前に勝負を付けられてしまう。このあたりを改善できない限り三役での勝ち越しは厳しいと言わざるを得ない。

 来場所は平幕から出直しとなるが巻き返しを期待したい。また今後目標にしてほしいのが平幕優勝である。7月場所はあと一歩のところで優勝を逃しており、今後もチャンスが来ると私は思っている。朝霞出身の大栄翔と越谷出身の阿炎は優勝しており、次は所沢出身の自分が優勝したいはずである。稽古はする力士であり、意識も高いので7月場所のように上手くかみ合えば面白い。番付が下がった時がそのチャンスだと思うので頑張って欲しい。