2023年11月場所個別評価 照ノ富士

 今場所は全休した。これで二場所連続全休、三場所連続休場、そして横綱在位14場所で8度目の休場となった。また今年の15日間皆勤は8度目の優勝を果たした5月場所の一場所だけとなり、この事実は非常に重いものがある。そして場所後の横綱審議委員会では山内委員長が来年1月場所の出場を求めた。それまでは功績が大ということで一人横綱の休場に寛容だったが、厳しい姿勢に転じた。

 さて場所前に関しては秋巡業は休場していたが腰の治療で状態が良くなったということで巡業に途中合流した。そして朝乃山と稽古をするなど、回復ぶりを示していた。しかし場所前福岡入りしてからは師匠が出場する方向であることを明かした一方、当の照ノ富士は慎重な姿勢を崩しておらず、それが気になっていた。結局腰の痛みが再発し、調子が上向かないということで休場ということになった。

 場所中は福岡ではなく、東京で治療をしていたみたいだ。しかし腰の状態は良くなっておらず、冬巡業も休場となった。少なくとも現時点では来場所出場できるようには思えない。

 私的には来場所に進退を懸けるのではなく、もう少し待ってあげてもいいのではないかという考えである。また本人が辞めたくてもやめられない事情があるのかもしれない。横綱に昇進した時から既に満身創痍であり、こうなることはある程度分かっていたことである。怪我を抱えながらも夏巡業は皆勤しており、横綱の座に居座っているようには私には見えない。できれば新横綱誕生でバトンタッチする形での引退が理想である。相撲内容的にも霧島が横綱に近づいてきた感じである。ただ霧島もすぐ横綱に上がれるかは分からないので5月場所までは待ってほしいというのが私の意見である。また引退して横綱不在にしてほしくないというのもある。

 いずれにしても1月場所に向けて動向が注目されるのは間違いない。休場する、進退を懸けて出場する、土俵に上がらずに場所前に引退するなど、あらゆるケースが考えられる。勿論腰の状態が良くなって復活してくれるのが一番だが、そうも言ってられない状況になってきているのも事実である。横審の出方を伺いつつ、師匠と本人が出場するかどうか決めるといった展開にもなりそうである。また本人が重圧に耐えられなくなるというのもあるかもしれない。しかし繰り返しになるが、引退するにしても白鵬が照ノ富士にバトンタッチして引退したような形を私としては望んでいる。