千代の国引退について 私が観た印象その1

 そして千代の国は激しい相撲を取っていたが、誤解してほしくないのが立ち合いからすぐにラフな相撲を取っていた訳ではない。勿論立ち合いから張り手を入れる相撲はあったが、その数は決して多くはなかった。無茶な相撲となるのは先の碧山戦のように勝負が付くところである。確かに怪我をする相撲ではあるが、怪我を恐れずに勝負に徹する相撲の取り口に魅了されたファンは多かったのではないだろうか。私もその中の一人である。土俵に賭ける執念というものを千代の国には見せてもらったような気がする。

 唯一の金星となった2017年5月場所2日目の鶴竜戦は立ち合いで当たってすぐに右へ体を開いての引き落としが決まった。金星を挙げたことは素晴らしいが、前に出て勝った相撲ではなく、思い切りの良さが光った一番だった。また三役が目標だったが平幕上位の番付での勝ち越しはなかった。そして金星を挙げた場所では2勝13敗と大負けをしており、上位力士には通用しなかったと言っていいと思う。体重が140キロ程度であり、三役に上がるには体が小さかったというのもあるかもしれない。私的には元嘉風のように三役に定着し、上位力士を倒す活躍が観たかったがそれが少し残念である。

続く