2023年7月場所個別評価 獅司
今場所は新十両で東十両12枚目だったが9勝6敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は9日目から3連勝し、13日目は玉正鳳を引き落としで破り、嬉しい勝ち越しを決めた。千秋楽は勝てば二桁勝利だったが大奄美に敗れ、10勝には届かなかった。
内容に関しては相手を研究してというよりも自分の力を試す相撲を取っていた印象がある。しかし唯一考えて相撲を取ったのが狼雅戦である。右四つ得意の狼雅に突き放し、相手に組ませない。そして間隔が空いたところで右を差し、そのまま掬い投げで破った。四つでは狼雅には敵わないと思ったのだろう。突き押しは押し切る力まではないものの、突っ張ることはできる。以前は廻しを取ってこそという感じだったが今は対応力が上がっており、離れてでも相撲が取れるようになってきた。
一方で6日目からの3連敗は負けた相手がいずれも突き押し得意の力士だった。一方的に押されたわけではないが、突き押しの攻防に対処できなかった。こういう相撲を見るとやはり廻しを取ってこそ力を発揮できるタイプだと思う。できればきっちりと四つに組み止めて勝てるようになりたい。
場所後は夏巡業に参加したが、8月14日の旭川巡業では幕内の宇良と湘南乃海、そして再入幕を確実としている熱海富士を相手に6番取って4勝2敗と健闘したようだ。ぶつかり稽古ではなかなか押せないなど課題はあるが、能力はやはり高い。身長192.5センチ、体重174キロの体格であり、手足が長い上に体が柔らかい。年齢は26歳だがまだまだ伸びそうである。
9月場所は東十両8枚目となったが二桁勝利を期待したい。また結果と同時に十両には経験豊富な力士が多いので揉まれながら力を付けていって欲しいところだ。幕内で相撲を取れる力は持っており、どのように成長していくかが非常に楽しみである。