2023年7月場所個別評価 湘南乃海
今場所は新入幕で西前頭14枚目だったが10勝5敗という成績で初となる敢闘賞を受賞した。序盤は4勝1敗と好スタートを切り、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は12日目に優勝争いのトップを走っていた錦木を小手投げで破り、勝ち越しを決めると同時に優勝争いを面白くした。千秋楽は勝てば三賞という条件付きだったが妙義龍を叩き込みで破り、敢闘賞受賞となった。
内容に関してはスケールの大きな相撲で白星を挙げていた。初日の大翔鵬戦は相手得意の右四つとなった。しかし左上手は与えず、土俵を背にしてこらえると左上手を取って反撃し、最後は押し出した。2日目の宝富士戦は立ち合いからすぐに相手得意の右上手を取られ、苦しい体勢となった。しかし右から小手に振って残すと左を差し、相手の右上手を切ると同時に右からの小手投げで宝富士を土俵に沈めた。9日目の琴恵光戦は立ち合いから押し込んですぐに右から突き落としを見せ、体を開くと琴恵光は自ら飛び出すようにして土俵を割った。そして12日目の錦木戦である。立ち合いから互いに得意の左四つに組み合い、両者ともに上手は取れないという形となった。そして錦木が右を差し、ねじ込みに行こうとするも湘南乃海はそれを許さない。逆に右からおっつけると体を開いて小手投げを打ち、錦木はたまらず土俵を転がった。湘南乃海は身長193センチ、体重184キロと立派な体格をしている。しかし横への動きは速く、投げを打つタイミングも非常に上手い。まだ左四つの相撲は完成されておらず、相手の懐に入って組み止められるようになればとんでもない力士になる可能性がある。体格だけでなくスケールも非常に大きく、今後は上位力士を破るだけでなく、大関候補になる可能性も十分あると私は見ている。
9月場所は西前頭5枚目となった。豪ノ山同様、まずは勝ち越しを狙いたい。そして幕下時代から7場所連続勝ち越し中であり、勢いがある。また年齢は25歳だが幕下での下積み期間が長かっただけに飛躍が期待できる。夏巡業では霧島に胸を出してもらい、ぶつかり稽古をしたようである。役力士と肌を合わせることで成長が見込めそうだ。出世が遅れただけであり、未完の大器である。どこまで成長するのか、またできるのか?。この力士に関しては楽しみしかない。
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