2026年9月場所個別評価 玉鷲

 今場所は東十両3枚目だったが10勝5敗の好成績だった。3連敗スタートとなり、序盤は1勝4敗だった。しかし6日目からは快進撃が始まった。連勝が止まらず、12日目は佐田の海を一気に押し出して勝ち越しを決めた。その後14日目は優勝争いでトップの輝を突き落とし、勝ち星を二桁に乗せた。しかし千秋楽は嘉陽に引き落とされ、連勝が9で止まるとともに優勝決定巴戦は阻まれた。

 内容に関しては序盤は自分の相撲が取れず、幕内復帰は厳しいように見えた。しかしその後は自分の相撲に徹し、連勝を伸ばした。8日目の大青山戦は非常に見応えがあった。当たって玉鷲が押し上げたものの大青山が下からあてがった後両差しとなった。そして右小手投げで体を入れ替えた後しばらく動きが止まった。玉鷲の右と大青山の左の攻防であり、大青山が懸命に左下手を取ろうとするものの玉鷲は右から絞って許さない。その後玉鷲が右足を飛ばすと左のど輪で押し上げ、粘ろうとする大青山を押し出した。ギリギリの攻防だったが、凌いで白星に結び付けたあたりは流石ベテランである。

 そして圧巻は9日目の北の若戦である。押し合いから押し込んだものの北の若に右からいなされると左四つに組まれ、寄り詰められた。しかし弓なりになりながらも懸命にこらえると、最後は右上手を離して押し出そうとする北の若を左からの突き落としで這わせた。見事な逆転勝ちだったが、私的には普段からの稽古の貯金が白星につながったように見えた。北の若の重心が少しずつ高くなっており、諦めない姿勢は見事だった。最後は北の若が根負けしたようにも見え、そこまで粘った内容はまさに鉄人である。取組後は大きな拍手が上がっていたが、なかなか鳴り止まなかった。少なくとも41歳が取る相撲ではない。起死回生の突き落としは胸を打たれるものがあった。

さて11月場所は東前頭15枚目となり、41歳11か月の再入幕は昭和以降で史上最年長の昇進となった。また場所中の11月16日に42歳の誕生日を迎えることになる。体は動いており、勝ち越しを期待したい。ベテランだが身長189センチの長身であり、リーチも長い。そして突き押しができなくても強烈な小手投げがあり、四つ相撲も取れないことはない。よってまだまだ相撲が取れると思うので、気力が続く限り頑張って欲しい。