真っ向勝負! 平戸海 今後に向けて

 今後に向けては当然部屋を背負っていく立場になることが予想される。佐田の海と妙義龍はベテランの域に入ってきており、あとどれだけ頑張れるかといった状況である。特に妙義龍は三役経験が豊富であり、技の引き出しもたくさん持っている。今のうちに自分なりに技を吸収したいところだ。また同郷の對馬洋は29歳であり、現時点では平戸海に追い付くことは考えにくい。そして部屋には巨漢力士が見当たらないので出稽古や巡業などで体の大きな力士と稽古をして鍛える必要がある。部屋での稽古だけでなく、本人の積極性が求められる。

 個人的には部屋は違うが豪ノ山が良いライバルになると思っている。部屋同士でどれだけ交流があるかは分からないが、豪ノ山は十両力士だが既に幕内で相撲を取れる実力は持っている。また大学相撲出身なので豪ノ山の方が2歳年上である。豪ノ山は背は高くないが馬力を前面に出した突き・押し相撲を得意としており、前に出るという点では平戸海と取り口が似ている。競い合えばお互いに強くなるのではないかと私は考えている。

 さて平戸海は勝負にかける執念が凄いという意味で、平成生まれだが昭和の香りがする力士である。最近は気迫を表に出す力士が少なくなっており、その部分では非常に魅力的な力士である。また引き技がほとんどないだけでなく、本人にも引こうとする姿勢が頭に全くないというのも平戸海の特長である。自ら引くのではなく、相手に引かせたところを前に出るのが平戸海の相撲である。焦って番付を上げようとするのではなく、経験を積み重ねながら少しずつ強くなっていって欲しい。いずれは上位力士を倒す日が来ると思うのでその時を楽しみにして待ちたい。

終わり