2023年3月場所個別評価 錦富士
今場所は西前頭10枚目だったが10勝5敗の好成績だった。5連勝スタートを切ったが6日目からは3連敗し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は10日目から連敗するも12日目からは連勝し、4場所ぶりの二桁勝利となった。
内容に関しては左四つの相撲と押し相撲で白星を挙げていた。四つ相撲に関しては初日の妙義龍戦や5日目の平戸海戦は立ち合いからすぐに左四つに組み止め、厳しい相撲を取っていた。押し相撲に関しては2日目の東龍戦や14日目の剣翔戦は立ち合いから離れて相撲を取り、そのまま勝負を付けた。また12日目の高安戦は立ち合いから右上手を取られるも左を差して腕を返し、突き落としに来たところを一気に押し出した。このように四つ相撲と押し相撲を柔軟に使い分けられるタイプの力士であり、器用な力士である。
課題としては8日目の輝戦や10日目の大翔鵬戦のように一方的な内容で押し出される相撲が挙げられる。二桁勝利という結果は素晴らしいが、幕内上位で相撲を取るには馬力がまだ足りない印象である。体重は150キロであり、馬力で圧倒するのは厳しいがもう少し前に出る圧力が欲しい。そのあたりは部屋に横綱がいるので胸を出してもらって力を付けていきたい。
5月場所は自己最高位を更新し、西前頭3枚目となった。上位力士と再び対戦できる番付となったが結果よりも自分の力を試すつもりで相撲を取って欲しい。先場所、先々場所は上位力士と対戦しており、力の差はある程度分かっていると思うので前進を期待したい。また翠富士とは同部屋だけでなく、同学年、同期入門なので良きライバルである。新三役を目指すという立場も一緒なので競い合って強くなって欲しいところだ。
最近のコメント