2023年3月場所個別評価 遠藤
今場所は9勝6敗という成績だった。前半戦は6勝2敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、10日目に早々と勝ち越しを決めた。また2敗ということで優勝争いにも加わっていた。しかし翌日からは連日三役力士との取組となったこともあり連敗。14日目は琴ノ若に勝ったが結局9勝で場所を終えた。
内容に関しては押し出しで4番、押し倒しで1番勝っており、珍しく押し相撲での白星が多かったという印象である。最近は立ち合いから突き押しを見せた後で四つに組む相撲が多いが、今場所は前に出る圧力があり、そのまま押し出して勝負を付けていた。特に良かったのが9日目の平戸海戦である。立ち合いから突き放し、相手得意の右差しを許さない。その後自ら右を差して相手の動きを止めた。また平戸海に右を差されたが遠藤が巻き替え、動きが止まると同時に左の差し手争いとなった。この形になれば遠藤の方が技の引き出しが多く、一枚上である。最後は平戸海が上体を起こしに来たところを左からおっつけ、そのまま寄り切った。平戸海に自分の相撲を取らせないと同時に若手力士の壁になるような相撲内容だった。遠藤は最近は平幕中位での土俵が続いているが、若手力士にとっては高い壁である。小結を5場所務めた経験がある上に相撲が上手い。当然ながら技量を備えており、力任せで勝てる相手ではない。また終盤は黒星が増えたが、琴ノ若には勝っており、立ち回りひとつで三役力士に勝てる力は持っている。
5月場所は西前頭2枚目となり、一年ぶりの平幕上位の番付となったが、勝ち越しての三年ぶりの三役復帰を狙いたい。同部屋だが同じ立場の翔猿はライバルとなりそうである。また部屋には今場所惜しくも優勝を逃した大栄翔や再入幕で勝ち越した大翔鵬がおり、勢いがある。今場所のような相撲が取れれば三役も十分狙えると思うのでベテランの頑張りを期待したい。