2023年3月場所個別評価 阿炎
今場所は東前頭2枚目だったが9勝6敗という成績だった。黒星スタートも2日目からは5連勝。4日目は綱取りの貴景勝に勝った。しかし7日目からは4連敗し、勢いが止まった。11日目からは再び連勝し、13日目に勝ち越しを決めた。
内容に関しては叩き込みで4番、引き落としで1番と半分以上が引き技で勝っている上に御嶽海戦も立ち合いで大きく右に動いての上手投げということで注文相撲での白星だった。一方前に出て勝った相撲は少なく、自分の相撲が取れていたとは言えない。貴景勝に勝ったことは素晴らしいが、対戦成績ではリードしており、4日目ということを考えると叩くことありきではなく、押し合いの相撲が観たかったところだ。
そして場所全体で見ると突き押しは見せるものの、肘が伸び切らず、逆に引いてしまうといった相撲が多かった。本来なら肘が伸び、そのまま押し切るのが阿炎の相撲だが押し切れないあたりに肘に不安を抱えているのではないかという感じがする。スピードがあり、立ち回りも上手いので今場所のような相撲でも三役復帰は問題ないと思うが、大関昇進までは期待できない。大関に向けては1年以上前に平幕で二場所連続12勝を挙げた時のような一気の押し出すような相撲が求められる。
来場所は東前頭筆頭となったが私は結果よりも力強い突き押し相撲が戻るかどうかに注目したい。また戻らないようだと慢性的な肘の痛みを抱えており、以前のような相撲は取れないと見た方が良さそうだ。私としては照ノ富士と優勝争いをした頃の相撲をもう一度観たいのだが…。