2023年3月場所個別評価 若元春
今場所は11勝4敗の好成績だった。連勝スタートも3日目からは連敗し、前半戦は5勝3敗で折り返した。そして後半戦は連勝し、13日目は北勝富士に勝ち、三役では初となる10勝目となった。また大関昇進への起点を作った。翌14日目は豊昇龍に上手投げで敗れて4敗となり、優勝の可能性が消滅した。千秋楽は琴ノ若を逆転のうっちゃりで破り、11勝で場所を終えた。
内容に関しては左を差してから右上手を取る相撲には安定感があった。また叩き込みで二番、突き落としで一番勝っているように離れて取る相撲にも対応できていた。その一方で軽量を突かれて負けた相撲もあり、3日目の御嶽海戦と8日目の正代戦はいずれも立ち合いから一気に前に出られての完敗だった。両者ともに元大関であり、大関に向けてということを考えると馬力不足は明らかである。また12日目の遠藤戦と千秋楽の琴ノ若戦も天性の足腰が活きた逆転勝ちであり、11勝は挙げたものの、二桁勝利に相応しい内容だったとまでは言えない。
来場所に関してはハイレベルな成績を残せば大関昇進の可能性はあるが、三役はまだ3場所目であり、もう少しじっくりと力を付けていきたい。また新関脇ということで再度の二桁勝利を期待したい。課題としては立ち合いの当たりの強化。そして増量が求められる。現在体重は143キロだが、150キロまで増えれば対戦相手のイメージも変わってくると思う。相撲自体は上位に入っても通用しているので前に出て勝つ相撲をもっと増やしたいところだ。
そして気になるのが弟の若隆景の長期離脱である。今までは追いかける立場だったが来場所は若隆景が小結に番付を下げ、立場が逆転する。そしてこの状況が当分続くことになる。今までは兄弟で力を合わせてという部分もあったと思うが、一人になったところでどうなるか？。上を目指すにあたっては今まで以上に強い気持ちを持って臨む必要がありそうだ。しかし若元春は若隆景より体が一回り大き上に上体の力が強く、身体能力が高い。大関に上がれる可能性は十分ある。あとは相撲ファンとしては大関昇進という形で才能が開花することを心待ちにしたい。