2023年3月場所個別評価 照ノ富士

 今場所も全休した。これで4場所連続休場となった。先場所後は膝の状態も少しずつ回復し、出稽古に来た霧馬山に胸を出したり、場所直前は錦富士、宝富士と相撲を取る稽古をしたみたいだ。しかし手術後ということで日によって調子の良し悪しがあり、調子の良い時に稽古をしていたというのが本当のところのようである。おそらく土俵に上がればそこそこは相撲が取れていたと思う。しかし横綱なのでそこそこで許してもらえる地位ではない。また季節的にも3月であり、寒い日もある。ということでこの判断は仕方がないと言える。

 場所中も朝は土俵へ下り、夕方からは筋力トレーニングを継続していたようである。そして場所後の春巡業には初日から参加している。本人も5月場所出場に向けて強い意欲を示しており、おそらく5月場所は出場してくるものと私は考えている。また横綱審議委員会は5月場所への出場を厳命せず、「万全の状態で戻ってきて欲しい」という姿勢は変えていない。自身が言うように万全になることはなく、ある程度の状態に戻ったところで見切り発車ということになりそうだ。

 そして師匠を含めて考えていると思うが、5月場所を休場すると7月場所は名古屋開催であり、しかも暑い。また場所前の巡業もなく、他の部屋の力士と手合わせがしにくいといった意味でも長期休場の横綱が復帰する場所としては不向きである。その次の9月場所だと横審からのプレッシャーがきつくなることも十分考えられるので、体調さえある程度戻れば5月場所は出場した方がいいのではないだろうか。

 あとは部屋には入門を控えているモンゴル人が生活しているようだ。大相撲は部屋に外国人出身力士は一人までという規定があり、照ノ富士が引退しない限り入門できない。霧馬山が出稽古に来た時に相撲を取ったが、霧馬山に勝つほどの実力の持ち主のようだ。そういったことを考えると自ら覚悟を持って土俵に上がり、結果が出なければ退くという強い意志を持っているのかもしれない。