2023年1月場所を振り返って 優勝争い その6

 しかし千秋楽、しかも優勝が懸かった一番となると経験で貴景勝に一日の長があるのは明らかである。勿論琴勝峰にも頑張って欲しいが上位力士との対戦は少なく、その意味では役不足と言われても仕方がない。琴勝峰は師匠や部屋付きの親方衆のアドバイスを聞き、平常心で土俵に上がるのが精一杯といったところである。それでも勝負事はフタを開けてみなければ分からず、取組に注目していた。

 相撲は貴景勝が頭からぶちかまし、押し込むと琴勝峰が後退。貴景勝が押した勢いで左を深く差した時はどうかと思ったが体を寄せて投げると琴勝峰はたまらず土俵を転がった。琴勝峰には悪いがやはり役者が違った。結果的に琴勝峰は何もできないまま終わってしまった。

 それにしても貴景勝は横綱が休場し、一人大関の立場でよく頑張ったと思う。どうやら11日目の琴ノ若戦で首を痛め、12日目の霧馬山戦で連敗したのは首の痛みが原因のようだ。苦しい状況の中で心身ともに立て直し、優勝に結び付けた。先場所後は「あと一番勝っていれば」と後悔を口にしていたが、一番一番を大切に取る姿勢がようやく優勝という結果となって表れた。場所後の横綱審議委員会では成績に関わらず優勝すれば綱取りと委員長が語っており、3月場所は今場所以上にチャンスとなる。来場所も照ノ富士は休場の可能性が高く、2場所連続で12勝をマークしているだけに横綱昇進といきたいところだ。

 一方負けた琴勝峰は千秋楽に関しては仕方がないと言える。この経験を次に活かしていくしかない。ただ繰り返しになるが、千秋楽に大関と対戦するところまで持っていったところは素晴らしかった。私的にはどこかで負け、優勝争いから脱落すると思っていたが終盤は阿炎と大栄翔に勝ち、優勝争いに残った。次の目標は平幕上位での勝ち越し、そして定着である。琴ノ若とは少し差を付けられたが体格には恵まれており、スピードもある。最近2年くらいは平幕下位~十両で揉まれてきており、そろそろ飛躍を期待したい。

終わり