今年の大関候補2023 阿炎

 去年の11月場所は悲願の初優勝を果たした。そして1月場所は平幕上位に番付を上げ、千秋楽に勝ち越しを決めた。まずは三役復帰。そして三役での二桁勝利が目標となる。

・去年1年に関して

 1月場所は平幕で12勝を挙げる活躍をし、3月場所は新関脇となった。そして三役の座を維持するも二桁勝利までは挙げられなかった。また肘の痛みとの闘いでもあった。痛みが原因で満足に突き放せない相撲が増えた。結局7月場所後に右肘と左足首の手術を行い、9月場所は全休した。11月場所は休場明けであり、師匠の錣山親方もあまり期待はしていなかったようだが、決定戦に持ち込み、初優勝を飾った。番付が大幅に下がったとはいえ、休場明けでの優勝はなかなかできることではない。

・課題

 1月場所6日目の貴景勝戦はもろ手で突くも下からあてがわれ、左からいなされると再び距離を詰められ、細かく突かれるとそのまま押し出された。確かに貴景勝が上手く取った相撲である。しかし阿炎の側に立てば相手に距離を詰められた時にどう対処するのかという点で課題が出た。確かにリーチの長さを活かした突き押しは強烈だし、土俵際の回り込みも上手い。しかし貴景勝戦では突き押しをかわされ、土俵際ではなく、土俵中央で不利な体勢となった。この相撲は他の力士も攻略の参考になっていると思われ、対策が必要である。三役に定着した実績もあり、今後は突き押しを磨くだけでなく、どんな体勢になっても対応できるような稽古が必要になってきそうである。

・今後に向けて

 年齢は28歳であり、私としては今年中に大関に上がって欲しいと思っている。そして本人は11月場所の優勝に浮かれることなく、チャレンジャーとしてぶつかっていくと語っている。コロナ関連で出場停止処分を受け、世間を騒がせたが気持ちを入れ替えて相撲を取っている姿は好感が持てる。今の気持ちを忘れず、上を目指してほしい。体格や才能は師匠の元関脇寺尾の錣山親方以上のものを持っており、まずは番付で師匠を上回りたい。一つだけ気になるのが肘の状態である。肘の痛みが再発するようだと三役での二桁勝利と大関昇進は苦しくなりそうだ。あとは相撲ファンとしては努力と結果が結びつくことを期待するしかない。