2022年11月場所個別評価 佐田の海

 今場所は西前頭4枚目だったが8勝7敗で勝ち越した。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は上位力士との対戦が増えたこともあり、12日目に7敗となり、勝ち越しに向けて後がなくなった。しかし13日目からは白星を並べた。そして千秋楽の一山本戦は最初は一山本の叩きを有利と見て一山本に軍配が上がった。しかし物言いが付き、一山本のつま先が出るのが早いという審判長の説明で行司差し違いで勝ち越しを決めた。

 内容に関しては差しての速攻相撲が多かったが力を付けてきているということで四つに組まず、押して勝負を付ける相撲も多かった。やはりハイライトは8日目の正代戦である。同じ熊本出身で大関との対戦であり、結び。しかも地元の九州場所である。相撲は立ち合いから正代に抱えられて前に出られるも左から掬い、最後は上手出し投げで土俵の外に出した。佐田の海らしい速い相撲で勝負を付けた。殊勲インタビューでは充実した表情で語っていた。目つきもやる気に満ち溢れており、35歳とは思えない。ベテランの域に入っているが、今が強さのピークである。経験を積んでおり、自分の力量が分かった上で相撲を取っているのでこの先も楽しみである。

 1月場所も西前頭4枚目であり、翠富士同様、番付据え置きとなった。しかしこれをプラスに考えたい。三役を変に意識せず、再度の勝ち越しに集中したいところだ。部屋には実績十分の妙義龍だけでなく、伸び盛りの平戸海がいる。稽古を付けると同時に平戸海の勢いに乗りたい。また1月場所というよりも、今年は三役昇進に向けて勝負の年となる。現在は一横綱一大関であり、混戦状態なので三役に上がれる可能性は十分ある。諦めずに稽古に取り組みながら貪欲に狙いたい。父も最高位は小結だったのでここまで来たら父と肩を並べて欲しい。