2022年11月場所個別評価 若元春
今場所は東前頭4枚目だったが10勝5敗で2場所連続二桁勝利となった。前半戦は4勝4敗で折り返した。そして後半戦は11日目からは連勝し、千秋楽は王鵬を掬い投げで破り、二桁勝利と同時に三役昇進に向けても大きな白星となった。
内容に関しては左四つの相撲が多かったが押し出しで3番勝っているように立ち合いから突き放していく相撲も多かった。力を付けてきているのは勿論だが、印象に残ったのは考えた立ち合いをしていたことである。負けはしたものの、2日目の北勝富士戦は得意とは逆の左上手を求めに行った。また4日目の佐田の海戦は相手が右四つ得意ということでけんか四つの対戦となったが立ち合いから突き放して押し込み、得意の左四つに組み止めて寄り切った。このように何種類もの立ち合いができると相手は考えるようになる。そして相手に考えさせるだけでも効果的である。
一方で上位力士との対戦は御嶽海には勝ったものの豊昇龍戦と貴景勝戦は完敗だった。また伸び盛りの琴ノ若や先場所優勝の玉鷲にも負けており、実力のある力士にはまだ及ばない。今後も稽古を積み重ね、勝ち負けは別にして互角の相撲が取れるようになりたい。やはり一番の近道は弟の若隆景との稽古だと思う。稽古場ではほとんど勝てないようであり、勝てるようになれば上位力士にも勝てそうだ。
1月場所は新小結となり、史上3組目となる兄弟同時三役が誕生した。若隆景は才能がある上に努力家なので若元春が頑張った結果である。以前から身体能力は弟以上だと見ていたので兄弟三役は嬉しい限りである。勿論目標は勝ち越しである。また初となる上位力士総当たりとなる。今場所は正代、霧馬山、高安とは対戦しておらず、対戦相手が強くなるのでどの程度通用するか注目したい。そして三役に上がった以上、弟に気を遣う必要はない。弟を追い越すくらいの気持ちで頑張って欲しい。