2022年9月場所個別評価 水戸龍

 今場所は新入幕であり、東前頭16枚目という番付だったが5勝10敗という成績に終わった。前半戦は4勝4敗で折り返した。しかし後半戦は黒星が増え、12日目に負け越しが決まった。

 内容に関しては得意の右四つに組み止めれば勝てたものの、突き放されるなど相手に動かれると勝てないといった相撲が多かった。特に後半戦は稽古不足といった内容が多く、相手の攻めを凌いで四つに組めないようだと勝ち越しは望めない。

 さてここで水戸龍の紹介をしたい。水戸龍は錦戸部屋所属でモンゴル出身であり、年齢は28歳である。身長189センチ、体重189キロと体格には恵まれており、右四つ・寄りを得意としている。そして日大時代はアマチュア横綱と学生横綱のタイトルを獲得し、幕下15枚目格でデビューした。しかし素質には恵まれていたものの十両昇進から27場所かかっての新入幕となった。ただこれには原因がある。

 まずは本人の問題である。ライバルの照ノ富士や逸ノ城の躍進を意識しないマイペースな性格がある。そして持病の腰痛の問題もあるのかもしれないが、出稽古に行ったという話は全く聞かない。相撲を観ても他のモンゴル人のような貪欲さは感じられない。

 そして師匠の問題がある。元関脇水戸泉の錦戸親方は去年の3月場所を休場するなど体調があまり良くないようだ。またおかみさんの問題もある。一人、また一人と力士が辞め、現在は実質的には水戸龍一人しかいないという状況である。水戸龍本人にも問題があるのかもしれないが、客観的に見れば部屋を閉鎖し、高砂一門の部屋に移籍させなければいけないところである。水戸龍が強くなることを考えず、現状のままにしている師匠にも問題があると私は思うのだが…。いずれにしても水戸龍は素質だけで相撲を取っている状態である。

 来場所は十両へ陥落となるが、今のままでは入幕はできても勝ち越しまでは厳しそうである。そして引き続き十両の主として定着することになりそうだ。勿体無いことだが、本人が決めている部分もあると思うので仕方がないと言える。あとは水戸龍が引退するまで部屋を続けるのか、それとも閉鎖して移籍させるのかに注目である。ちなみに錦戸親方は現在60歳であり、師匠を務められるのは65歳までなのであと5年残っている。今後どうなるかは分からないが、現時点では引退するまで師匠を務めるということになりそうだ。