2020年9月場所を振り返って 優勝争い その4
さて優勝争いのポイントになった一番だが普通に考えれば13日目の2敗同士の直接対決である。正代が勝ち、初優勝を手繰り寄せた。しかし私は敢えて8日目の貴景勝と栃ノ心の一番を挙げたい。相撲は栃ノ心が立ち合いの変化で勝った。そして貴景勝は2敗となった。私が強調したいのは「2敗となった」という部分である。仮に貴景勝が勝ち、1敗を守っていれば8日目終了時点で貴景勝が単独トップに立っていた。勿論貴景勝がその後すぐに負けて2敗になっていた可能性はある。しかし1敗を守ったまま終盤を迎えていれば優勝争いは全く違っていたものになったと私は考えている。ひょっとしたら正代の初優勝と場所後の大関昇進はなかったかもしれない。また2敗したことで翔猿にも優勝の可能性が生まれ、貴景勝と正代との取組が組まれた。もし貴景勝が1敗を守っていればこの取組はなかった可能性も十分ある。結果論ではあるが貴景勝は中日の2敗目を後悔しているかもしれない。また後から振り返ると勝っておきたかった一番だと思う。その部分を含めて正代に運が向き、また運を手繰り寄せたということかもしれない。
2大関に関しては優勝できなかったという結果は少し残念である。ただ個人的には2人共よく頑張ったと思っている。貴景勝は混戦とはいえ優勝争いのトップには立っていた。結局正代との直接対決に勝てなかったから優勝できなかっただけのことである。悲観することはないし、大関としての役割は十分果たしている。朝乃山は初日から3連敗した割にはよく立て直したと思う。出稽古ができず、部屋にはほかに関取がいないという環境であり、その部分では同情の余地がある。また不戦勝が2番あったものの2桁勝利はマークした。大関として格好はつけたのではないかと私は見ている。11月場所は大関に昇進した正代を含めて3人のうちの誰かが優勝してほしいところだ。
終わり
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