2025年11月場所個別評価 琴櫻

 今場所は8勝7敗という成績に終わった。前半戦は2日目から連敗、そして5日目から3連敗して7日目終了時点で2勝5敗と苦境に立たされた。しかしその後は連勝し、12日目終了時点で7勝5敗として勝ち越しまであと一つとなった。しかし翌日からは2敗の両横綱と安青錦戦が濃厚であり、誰かに勝つ必要がある。よって勝ち越せるかが焦点となったが14日目に大の里を寄り切り、辛くも勝ち越しを決めた。

 場所前は先場所痛めた右膝の影響で出場さえ危ぶまれたが、再生治療で出場にこぎつけた。しかし右膝だけでなく左膝にも厳重にテーピングを施されているのが怪我の深刻さを物語っていた。

 内容も膝が原因で立ち合いの踏み込みが甘く、攻め込まれる相撲が多かった。そして後半戦は巻き返したものの叩き込みで2番勝つなど苦しい状況が続いた。そして大の里戦は取組前に大の里が左肩を痛めていたこともあり、運よく勝ち越せたという印象である。確かに勝ち越せたのは大きいが、8勝では大関としての役割を果たしているとは言えず、厳しい目で見られても仕方がない。

 また今年1年を振り返っても二桁勝利が一度もなく、低調に終わった。そして今年始めは三大関だったが年下の豊昇龍と大の里が横綱に昇進し、先を越された。その後は一大関となったが場所後に安青錦が大関に昇進して再び二大関となった。おそらく安青錦が大関に上がった意味を分かっていると思う。二横綱は横綱としての役割を果たしており、過去の歴史を見ても四横綱時代は期間が短い。よって普通に考えれば、次に横綱に上がるのは二大関の内の一人となる。仮に安青錦が横綱に上がるようなことがあれば、自身の横綱昇進が厳しくなる。また安青錦は21歳と若い上に伸びしろがある。年齢的にも安青錦が力を付ける前に横綱に上がりたいところだ。

 ということで来年1年は上を目指すにあたっては非常に大事な一年となる。また横綱に上がれるか、それとも大関のままで終わるか分岐点になりそうな気もする。まずは右膝を回復させることが最優先だが、それと同時に危機感を持って欲しい。そして横綱以前に二桁勝利を挙げ、大関としての役割を果たすことが重要である。祖父の琴櫻は大関昇進から横綱に上がるまで5年以上を要しており、まだまだ時間がかかるということかもしれない。