2022年7月場所を振り返って 優勝争い その2
さて優勝争いだが今場所も先場所同様、上位力士が相次いで星を落とし、混戦となった。結局8日目終了時点で全勝、1敗はおらず、2敗で横綱照ノ富士と平幕力士6人の合計7人がトップで並んだ。その中で目立ったのは平幕の琴ノ若と逸ノ城である。琴ノ若は連日大関を破る好スタートを切ると8日目は優勝争いでトップに立っていた逸ノ城を寄り切りで破り、トップに並んだ。また相撲内容も少しずつ進化しており、前に出て勝つ相撲が増えてきた。逸ノ城は初日から三役力士との対戦が続いたが右四つの相撲で圧倒し、6連勝スタートとなった。中でも圧巻だったのが5日目の照ノ富士戦である。お互いに右四つが得意だが、これまでは逸ノ城が有利な体勢を作っても照ノ富士が徐々に体勢を作り直し、最後は照ノ富士が勝つといった相撲内容が多かった。しかし今場所は立ち合いから逸ノ城が左前廻しを取ると照ノ富士は右を抱え、極める形となった。一方逸ノ城は二本差しである。そして照ノ富士が動きを止めたかに見えたが逸ノ城は右下手を離さず、逆に前に出ながら右を深く差して廻しを掴んだ。こうなると200キロを超える巨体が活きてくる。抵抗はされたものの、最後は力強く寄り切った。照ノ富士は負けることはあっても四つに組んで負けることはほとんどない力士である。相手が巨漢とはいっても胸があって負けるとは私は考えてもいなかった。それだけ逸ノ城に調子が良かったということだと思う。これで優勝候補に名乗りを上げたわけだが、7日目からあっさり連敗してしまうあたりが逸ノ城らしいとも言える。それはともかく、逸ノ城が連敗し、優勝争いが面白くなったことだけは間違いない。
続く
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