なぜ若隆景は魅力的なのか? おっつけ
3月場所は新関脇だったが初優勝を果たし、大関候補に名乗りを上げた。身長180センチ、体重131キロと小兵力士と言ってもいいが、とにかくスピードが速い上に相撲が上手い。強いだけではなく、魅力がたくさん詰まった力士である。それではその魅力を紹介したい。主に4つある。
・おっつけ
おっつけとは相手の差し手を封じるために、相手が差しに来たり突っ張ったりした時に、自分の肘を自分の脇に押し付け、手は相手の肘に外側から当てがってしぼり上げる。決まり手にはならないが、おっつけてから廻しを取ったり、押しに切り替えることもでき、その意味ではどの力士にとっても重要と言って過言ではない。平成に入ってからは横綱三代目若乃花や大関栃東などが得意としていた。三代目若乃花の花田虎上さんが語っていたが、手だけではなく、体全体を使って、下から上に上げるイメージと言っていた。おそらく角度的な部分や相手の重心の位置もあると思うので、見た目以上に奥が深い技である。
そして若隆景はおっつけを得意としているが、相手の体勢を見ながら差したり、押したりといった形に切り替えるのが非常に上手い。そしてそのスピードが速い。おそらく頭で考えているのではなく、体が瞬時に反応しているのだと思う。また切り替えのスピードが速いので相手の反応がどうしても遅れる。そこを突くようにして再び攻めるといった具合である。おっつけて絞り上げる力士もいるが、若隆景は自ら体勢を変えながら有利な形を作っていくタイプである。その点では三代目若乃花のおっつけに似ている。
続く
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